夏目漱石版「アーサー王物語」、「薤露行(かいろこう)」

文芸
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皆さん、こんにちは。
お忙しい中、ブログを見に来ていただき、ありがとうございます。

今年、2016年は、夏目漱石(1867年 2月 9日 – 1916年 12月 9日 )の、
没後100周年記念にあたる年で、
来年、2017年は、生誕150周年となり、
世間では、なにかと、夏目漱石の話題で持ちきりです。

そんな中、今日は、私の好きな漱石の短編小説「薤露行(かいろこう)」をご紹介いたします。

この作品は、漱石が、「アーサー王物語」を下敷きに書いた短編小説です。

アーサー王伝説は、中世以降、現代にいたるまで、
文学や演劇、音楽や絵画など、
様々な芸術の題材として取り上げられてきました。

思いつくだけでも、チョーサーの「カンタベリー物語」、
セルバンテスの「ドン・キホーテ」、
ワーズワースの「エジプト人のメイド」、
ワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」、「パルジファル」、
シェイクスピアの「ハムレット」、
ミレーの名画「オフィーリア」、
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」、
モンゴメリの「赤毛のアン」、
マーク・トウェーンの「アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー」、
アニメでは、ディズニーの「王様の剣」や「キャメロット」など、
挙げればきりがないほどの作品がありますが、
日本を代表する文豪、夏目漱石も「薤露行」で、
この人気の騎士道物語にチャレンジしていたのでした。

現在、「アーサー王物語」として、最も知られている作品は、
中世イングランドの作家マロリーが著した「アーサー王の死」です。

アーサー王を中心に描かれる騎士道物語ですが、
アーサー王の宮廷(キャメロット)に集まった円卓の騎士たちの、愛と冒険も展開され、
見どころが満載となっています。

妖精、魔術師、巨人、小人、呪い、禁断の愛、予言、聖剣、聖杯など、
超自然的な要素を沢山盛り込んでいるところも、
人気の秘密なのかもしれません。

夏目漱石は、「薤露行」を執筆後、高浜虚子に、
「その1ページは、『吾輩は猫である』の5ページと同じ労力がかかった」
と手紙に書き送ったといわれるほど、
この作品に心を込めたそうです。

「薤露行」の「薤」は「ニラ」のことで、
この題名の意味は、
「ニラの葉の上の露が乾きやすいように、人生もはかない」
という中国の歌が由来となっているといいます。

内容は、アーサー王伝説の有名な物語を、漱石なりの解釈で、
今まで誰も描かなかったような場面も想像して書き加えたりしています。

たとえば、ハンサムで好色な騎士ランスロットが、
アーサー王の妃グィネヴィアと不倫の恋に落ち、
旅先では、塔の上で暮らすシャロットという女性の心を知らぬ間に奪って死に至らせ、
領主の娘エレーンの心をも夢中にさせて自殺に追い込む、
という、罪づくりな恋愛模様が描かれることが、一般的なのですが・・・

漱石 挿絵

漱石は、アーサー王と妃グィネヴィアとの微妙な心のやり取りに焦点を定め、
味わい深いシーンを創り出しています。

美しい日本語で、鮮やかな情景を豊かに表現し、
神秘的で抒情詩的な世界を繰り広げているこの小説は、
漱石が自信を持って世に送り出しただけのことはある、、
芸術性の高い作品だと感じます。

漱石の繊細で心優しい一面に、触れられた思いがしました。

薤露行

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