皆さん、ブログを見に来ていただき、ありがとうございます。昨日は、年が明けて最初となるJRPテレビジョンの収録に行って参りました。その中で、年初にご紹介するにふさわしい、男子卓球界のサムライで、私も大ファンの水谷隼選手の話をしましたが、このブログでもあらためてお話させていただきたいと思います。
水谷選手は、言わずと知れた卓球男子の日本のエースとして、北京、ロンドン、リオデジャネイロと、三度のオリンピックに出場し、日本代表として素晴らしい活躍をなさいました。
特に、昨年開かれたリオデジャネイロオリンピックでは、日本人初の銅メダルを獲得し、私たち日本人に、大きな感動と勇気を与えてくださいました。
そんな水谷選手ですが、華やかな舞台の裏で、長年、世界の卓球界にくすぶる違法行為と、孤独な戦いを続けていらしたのです。
ロンドンオリンピックの後、2012年の10月に、「Sports Graphic Number815号」に、卓球の「違法ラケット」についての記事が出て、11月には水谷選手自身のインタビューも掲載されました。
記事によると、ラケットのラバーの裏側に「補助剤」を塗ると、スピンやスピードやコントロールなどの精度が飛躍的に増すそうなのですが、国際卓球連盟は、補助剤の使用を明確に禁止しているにもかかわらず、検査を正しくしていないというのです。
中国人選手たちが、「違法ラケット」を使用し始め、それを真似て多くの外国人選手たちも「違法ラケット」を使用していたそうですが、黙認されていたらしいのです。
もちろん、水谷選手を始めとする日本選手は、男女を問わず「違法ラケット」は一切使用していません。
水谷選手は、以前からこの不正をただすよう訴えていましたが、ロンドンオリンピックでも不正が正されなかったため、声を上げたのでした。当時、水谷選手は、こんな告発文をしたためています。
「ぼくは、これから選手生命をかけて、卓球界に横行している不正行為と戦っていきたいと思っています。もちろん、アンフェアな状況への憤りがあるからですが・・・不正行為を放置すれば、卓球というスポーツの未来にも暗い影を落としていくという危惧が心の底にあるからです」
この勇気ある行為に対して、当初は共に「違法ラケット」への不満を漏らしていた日本人選手たちは皆、沈黙してしまい、日本卓球界も良い反応を示さなかったといいます。
国際卓球協会の会長も、不正は知っているが不満を言うより強くなって見返せばいい・・・見分ける方法がないから個人のモラルに任せる・・・という見解を示したというので、私も驚きました。
当時2012年11月22日付けの水谷さんのブログに、こんな心境がつづられています。
「正直者がバカを見るスポーツであっては絶対にいけない」
「全てのプレーヤーと平等な条件でフェアに戦いたい」
「色んなことをまわりに言われ、『感謝の気持ちが足りないから不平不満が出るんだ』と連絡がきたときには、さすがに心が折れ死にたくなりましたが、絶対に自分は間違った主張をしていないと思えたから、ここまで本気で取り組んでこられました」
水谷さんは、しばらくの間、ラケットの不正が正されるまで国際試合に出ないという行為で本気の訴えを続けていました。
「ぼくは、捨て石になってもかまわない」
「この問題を解決するために、ぼくはいるんだ」
「正しいことをしているから、なにを言われても揺らがない」
その想いを抱きつつも、まわりがあまりに何も変わらなかったため、戦っている相手の大きさと自分の無力さを痛感し、外国人選手たちからの励ましもあって、とにかく、競技に戻って結果を出して見返そうというマインドに、自然と変わっていったそうなのです。純粋に卓球がしたい!という気持ちも湧いたといいます。
そこで、日本人のだれもいないロシアへ行って「技術」と「戦術」と「心」を鍛え直そうと思い、ロシアへ渡ったというのです。
そうして得た結果が、リオデジャネイロオリンピックでの銅メダルでした。
「負けたら死にたくなると思った」
水谷選手が試合後語ったその言葉を聞いたとき、私は涙が止まりませんでした。
おめでとうございます! 心から、その言葉を彼に伝えたいと思いました。(当時、小説執筆の最後の追い込みをしていたので、大きな勇気をいただきました)
ただ、リオオリンピックでも、「違法ラケット」問題はなにも変わらないままだったそうで、国際社会の闇を垣間見たような思いもしたのでした。
今、私たちが暮らしているこの社会は、きれいなもの、美しいことだけで成り立っているわけではありません。
マイケル・ジャクソンは次のように述べています。
人間は、真実と接していたいと望んでいます。
また、その真実を、他の人に伝えたいとも思っています。
たとえ、絶望であっても、喜びであっても、自分が感じたり経験したりしたことを生かすことが、その人生に意味をもたらし、他の人びとに役立つことにもなるでしょう。
これこそは、芸術の真の姿です。
こうした啓蒙の瞬間のためにこそ、ぼくは生き続けているのです。
私も年頭にあたって、マイケルのように、そして水谷選手のように、勇気をもってこの社会の闇と向き合い、信念をもって芸術家として創作活動に取り組んでいきたい、そう決意を新たにしているところです。
国家非常事態対策委員会「小和田恒 軟禁の実態」
(2017/1/5)
追伸1: 母校の青山学院が、箱根駅伝で三連覇を達成しました!
心からお祝い申し上げます!
追伸2: 水谷選手も出場する全日本卓球選手権大会が、
1月16日~22日まで東京体育館で開催されます。
http://japantabletennis.com/zennihon2017/
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